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「修学旅行のお土産“七福神”を燃やされ…」創価学会2世の証言 長井秀和も学会からの抗議書に徹底反論

「修学旅行のお土産“七福神”を燃やされ…」創価学会2世の証言 長井秀和も学会からの抗議書に徹底反論

デイリー新潮サイトより転写

https://www.dailyshincho.jp/article/2022/12090557/?all=1&page=6

2022年12月09日

 

長井秀和氏(他の写真を見る)

 国会では救済新法成立に向け、与野党の攻防が佳境を迎えている。公明党が暗躍する中、本誌(「週刊新潮」)に掲載した元信者・長井秀和氏(52)のインタビューが創価学会の逆鱗に触れた。抗議書で事実無根と主張するが、透けて見えてきたのは、かの教団との共通点で――。

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「いかにも創価学会のやりそうなことです。大きな組織がこうした措置を取れば、たいていの人は腰が引けますから」

 とあきれるのは、創価学会員の家庭で育ち、創価小学校から創価大学まで進学した元“エリート”学会員、お笑い芸人の長井秀和氏だ。

 長井氏は本誌11月24日号で、自身の「2世」としての苦悩や財務と呼ばれる寄付の仕組みなど、巨大新興宗教団体の実態を4ページにわたり告白した。すると、発売後に当の学会の代理人弁護士から新潮社社長と長井氏に対し、抗議書が届いたのだ。

 

〈貴殿(編集部注・長井氏のこと)の発言内容には多くの虚偽があり、意図的に、当会を、巷間問題とされている旧統一教会と同一視させ、当会へのイメージダウンを企図する悪質なものとなっており、全く看過することができません〉

「片腹痛い」

 穏やかならざる言葉を連ねたその文書では、大要以下の2点について〈厳重に抗議します〉と記されている。

 一つは長井氏が語った「学会側が明言することはありませんが、財務の額はおおむね収入の1割が目安といわれています」という点。長井氏は10日で1割の高利貸し“十一(トイチ)”にちなみ、この財務を「宗教十一」と呼んでいる、としていた。

 

 二つ目は長井家では仏壇関連で約2千万円を投じたという点だ。いずれも学会側は〈事実無根〉としているが、長井氏はこう反論する。

「『宗教十一』の件はインタビューでもお答えした通り、創価学会がオフィシャルに明言しているわけではありません。しかし、現場の活動の中では収入の1割こそが、池田大作先生へのお返しなのだ、という地区の指導がまん延していました。そうした実態を無視して、“そのような事実はない”とは片腹痛いですね」

母親に300万円を渡すと…

 自身の体験談に照らしても、創価学会は常にお金がつきまとう宗教団体だった。

「私自身も芸人として売れていった時期には親から“お金を出しなさい”とよく言われていました。以前、実家のお風呂のガスが古くなっていたので母親に“新しいのにしたら”と300万円ほど渡したら、それも学会に寄付されてしまったようです」

 

 さらに、2点目の仏壇について、抗議書を読むと、学会が驚くべき行動に出ていることが分かる。

〈今般、貴殿のご家族に確認したところ(中略)仏壇関連で2千万円支出したとの事実もありませんでした〉

 本人に通告なしで実の親に団体側が接触する。かの「カルト団体」と同じ行動に出たのだ。

教団が両親の署名入りで中止要請

 統一教会(現・世界平和統一家庭連合)の元2世信者である小川さゆりさん=仮名=が10月に記者会見を開いた際、教団が小川さんの両親の署名入りで中止要請を行ったことは記憶に新しい。また、同じく10月には多額の献金が原因で妻と離婚し、息子が自殺するなど家庭崩壊した高知県の男性を勅使河原秀行・教会改革推進本部長がアポなしで訪問し、「メディアには出ないでほしい」と要請。男性は記者会見を開いて教団に抗議した。

「統一教会と同じ構図」

 再び長井氏の談。

「信者である親を盾にして、その子どもに攻撃を加えるというのは統一教会と同じ構図だと強く感じます」

 学会は長井氏の親に確認し、長井家が購入したのは自宅の3階にある145万円の仏壇だけで到底2千万円には及ばない、と主張している。その金額の相違については、

「仏壇の金額については母親が忘れている部分もあるでしょうし、何より、母親はいまも学会の信者ですから、実際はお金がかかっていたとしても、それをはっきり言えない事情があるのだと思います」(同)

 として、長井家の仏壇事情をこう続ける。

「うちは何度か引っ越しをしていて、東京の武蔵村山市にあった3階建ての自宅に住む前、高校生の時には同じ市内の借家に、小学校に入るくらいの時には東久留米市に住んでいました。引っ越しをするたびに仏壇も買い替えていたんです。またバブル期には、“仏壇は良いもののほうがご利益がある”という風潮があり、わざわざ仏壇を高価なものにしていました。地域の新しい入信者に買ってあげたこともあり、トータルで8、9基くらいにはなるはずで、それらをひっくるめると2千万円相当になります」

 こうした事実をひっくり返そうと、実の親まで駆り出す創価学会。まさに言論封殺。統一教会との類似点を指摘されても仕方あるまい。

「1千万円近くは仏壇の代金に消えた」

 しかも、この高額仏壇問題は長井家だけに限らない。別の「2世」である元信者の女性が語る。

「私の家も合計で1千万円近くは仏壇の代金に消えています。祭壇のような、鐘も鳴らせる大きな仏壇は500万円ほどもしましたし、その後、引っ越した時には、180万円ほどのものを購入しました。扉を閉めると押し入れに見えるタイプの仏壇で、いまはそれがはやっているようです。それ以前にも何度か仏壇を買い替えており、そのくらいの金額にはなります。もちろん、高価な仏壇のほうが功徳が積めると言われていました。創価学会が日蓮正宗から破門された後には日蓮正宗の鶴の紋がついた仏壇が使えなくなり、買い替えを余儀なくされたこともありました」

 

 とかく排他的な学会の体質。小学校時代にはこんな“異様な”体験もした。

修学旅行の時に七福神の置物をお土産で買ったんです。“かわいいな”とお小遣いを全部はたいて買ったら、親からえらく怒られたのを覚えています。近所の学会の人が集まって、相談した結果、学校に行っている間に燃やされてしまいました

“3ケタ財務”がスタート

 長井氏も、

創価学会に入信する前から仏壇を持っている人でも、それを学会用に転用するのはNGです。謗法(ほうぼう)払いと言いますが、別の宗教の仏壇や仏具はすべて捨てなさいと言われます。簡単に言えば、ブランドチェンジです

 こうした仏壇を販売しているのは学会とは別の仏壇販売店とはいえ、実は創価学会本体の収益構造は厚いベールに覆われ、その詳細をうかがい知ることはできない。ただし、かねて三つの大きな収入源があるといわれている。「財務」「聖教新聞」「墓苑事業」だ。

 このうち、財務については先に触れたように多額の献金が現在も行われている。

「1972年に完成した大石寺の正本堂を建立するのに寄付を募り始め、その後、宗門である日蓮正宗から独立しようと画策したことがきっかけで学会による金集めが激しくなっていきました。いわゆる3ケタ財務が始まったのは、80年代からでしょう」

 とは創価学会関係者。

「100万円以上の財務をしましょうという3ケタ財務から、91年に正式に破門されると、さらに1千万円以上を寄付する4ケタ財務が始まりました。自身の保険をも解約するなど、学会員の負担が深刻化していったのです」

財務へのモチベーション

 しかし、統一教会と違ったのは、「合法的に金を集める」仕組みを作ったことだ。それが広布部員制度である。

「広布部員は年末に財務を行いますという誓約書を交わします。つまり、寄付は強制ではないという形にするのです」(同)

 実際の広布部員証を確認すると、そこには「2022年度 創価学会広布部員であることを証します」という言葉とともに、会長である原田稔氏の名が印字されている。部員証は11月初旬に各会館に取りに行き、今年は11月28日から財務が始まった。

 この関係者によれば、

「各地区では信者が集まる座談会が行われ、そこでは“財務をしたら病気が治った”などの功徳を発表しあい、モチベーションを上げていくのです」

 そうして集められる財務の総額は1千億円以上ともいわれる。

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聖教新聞と墓苑事業

 二つ目の柱である聖教新聞は公称550万部。購読料は1カ月税込で1934円なので、その収益は年間1200億円以上に及ぶ。三つ目の墓苑事業においては、全国15カ所ある学会が所有する墓地について、墓石や永代使用料がセットで100万円などの金額で販売されている。

 そして、宗教法人ゆえにそうした収益は非課税もしくは、課税されても税率が優遇されているのが実態だ。

 ジャーナリストの乙骨正生氏が解説する。

「宗教法人には公益会計と収益会計の二つがあります。公益会計は財務等の寄付やお布施などで、営利目的ではなく、宗教活動に関わるものなので、これらは一切無税です。かたや収益会計は物品販売など営利目的の事業での収益を指します。こちらは課税されるとはいえ、税率が軽減されています。例えば、法人税であれば、一般企業の場合、23.2%なのに対し、宗教法人は19%となっています」

宗教法人への課税で「4兆円の税収増」という試算も

 ほかにも宗教施設の固定資産税は免除されるなど、宗教法人はことのほか手厚く「保護」されているのだ。

「宗教法人の税率が軽減されているのは、法人としての公益性があるからです。ところが、統一教会もこのように問題になっているし、適格性のない法人には、税制優遇を停止するという措置が必要だと思います」(同)

 加えて、こんな指摘もある。ジャーナリストの山田直樹氏によれば、

「すべての宗教法人に課税をすればどうなるか、かつて税理士らと計算したことがありました。すると、4兆円の税収増を得られるという試算結果となった。消費税にして約2%分です」

 防衛費増額のために増税するのなら、宗教法人への課税こそ検討されるべきではないか。

国税庁も本丸・池田名誉会長には切り込めず

 創価学会も10兆円の総資産があると巷間ささやかれ、最近では、昨年3月に大阪の老舗結婚式場である「太閤園」を約390億円で藤田観光から買い取っている。

「大阪に大きな宗教施設を建設するための不動産を探していたんです。こうした施設や各地の会館が多く作られるのは、票のためでもあるとされています。ゼネコンを抱き込み、社員らの比例票を公明党に回してもらうのです」(先の関係者)

 その莫大な資産が泣く子も黙る国税庁に狙われたことがあった。90年から92年にかけ、創価学会に17年ぶりという国税庁の調査が入ったのだ。

 そのことは公明党委員長を務めた矢野絢也氏の『乱脈経理 創価学会VS.国税庁の暗闘ドキュメント』(講談社)に詳しい。同書によれば、これらの調査に、

〈池田氏はじめ学会首脳はパニックに陥った〉

 池田大作名誉会長が買いあさった絵画などの美術品や公私混同の不明朗な会計への調査を防ぐために、矢野氏が国税庁に対しさまざまな工作を行ったことが克明に記されている。それが功を奏し、結果的に国税庁は墓苑事業への申告漏れとして、6億4千万円の追徴課税を課すのみで、本丸である池田名誉会長に切り込むことはできなかった。

その後、99年に自自公政権が成立し、公明党は政権入りします。与党となった要因はいろいろとありますが、この国税調査もその一因だったと矢野氏は見ていました」(乙骨氏)

 

 突然の国税調査に恐れをなし、政権入りすれば、税務当局へのけん制となり、税金問題は不問にできると踏んだのか。確かに90年代初頭以降、学会に国税庁が本格的に調査に入ったという話は寡聞にして知らない。そのほかにも政権入り後、創価学会は公明党を通じ、政策実現へさまざまな働きかけを行ってきた。その力は統一教会の比ではない。

「学会員に向けたポピュリズム政党」

 この臨時国会でも岸田文雄総理が身を賭して成立させようとしている統一教会被害者のための救済新法について、公明党は創価学会へ累が及ぶことを恐れ、野党が求めていた「マインドコントロール下での高額献金の禁止」「寄付上限額の規制」などを法案から排除させ、見事“骨抜き”にしてみせた。

 

 雑誌「宗教問題」編集長の小川寛大氏が言う。

「統一教会と創価学会では政治へのアプローチが異なります。自分たちの考えを政策へ反映するのに、既存政党に近づいたのが統一教会。神社本庁や立正佼成会などもそのようなやり方をとっています。創価学会のように自ら政党をつくるというのは少数派です」

 だが、その公明党は、

「平和と福祉の党を標榜していたのに、今では改憲派の自民党にくみする形となっている。加えて、軽減税率の導入やコロナ禍の10万円給付の推進などで、学会員に向けたポピュリズム政党と化しています」(同)

 公明党をかいらいとして政権与党の一角を占めさせ、他の宗教団体とは比べものにならない影響力を行使する一方、異論を唱える元信者には、過剰な反応で抑え込みにかかる。創価学会と統一教会。その姿は世間にどう映っているか。

週刊新潮 2022年12月8日号掲載

特集「『長井秀和』が教団からの抗議文に徹底反論! 『創価学会』と『統一教会』映し鏡」より