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日韓海底トンネル構想 統一教会・文鮮明氏は言明していた「私が生きているうちに募金して造れ」

日韓海底トンネル構想 統一教会・文鮮明氏は言明していた「私が生きているうちに募金して造れ」

吉崎エイジーニョライター

2022/8/25(木) 16:49

(提供:イメージマート)

日々報じられる「自民党と統一教会」の話題。

ここ数日は「週刊文春」の報道による「岸田文雄首相と教団」のラインに及んでいる。支援者が教団と関係を持っていた、というものだ。

同誌によると、支援者とは2020年7月31日に発足した「熊本岸田会」会長の中山峰男氏(崇城大学/熊本市の学長)。氏が日韓トンネル建設を推進する関連団体の議長を務めていたという。

「日韓トンネル建設を推進」岸田文雄首相の後援会長は「統一教会」関連団体の議長

その日韓トンネル構想に、統一教会が絡んでいる。

岸田氏がこれまで「自らは教団と関係ない」としていた発言は虚偽ではないか。はたまた実現性に乏しく「単なる献金集め疑惑」がある事業との関わりが問題なのではないか。

そういった点が問われている。

このうち、キーワードとなる「日韓トンネル」について、韓国語の教団関連原語資料などを調査した。

教団は何を言っているのか。そこには、はっきりと教祖が「金を集めろ」と指示していたくだりがあった。

韓国では1997年の教団名称変更後も「教義に変更がない」として一般的に「統一教」と報じられています。本稿でもそれに倣い「統一教会」と表記します。

その目的は「教祖を世界の中心に」

韓国ではこのトンネルプロジェクトの発端は「日本統治下での日本からの発案が発端」とされている。その後、政権の情勢により議論が活発化される時代もあったが、その評価は「経済性なし」。

いっぽうで1981年にも統一教会の教祖文鮮明氏が構想を打ち出した後、「独自の動きを見せていた」という点も、やはり報じられている。

そもそも、このトンネルは何を目指していたのか。教団関連の公式書籍「平和神經」にはこう記されている。

神の前に宣言して始めた韓日海底トンネルとベーリング海峡トンネルプロジェクトも、(文鮮明氏は)真の父母様として、祖国光復の意味を完成させた主人として、必ず成功させるでしょう。

教団関連の公式書籍「平和神經」40P

ベーリング海峡とはユーラシア大陸とアメリカ大陸を分かつ海峡。これと合わせて日韓を繋ぐことで、文鮮明氏を「世界を繋いだ主人公にしよう」というプロジェクトだ。

文鮮明氏 1983年(写真:Fujifotos/アフロ)

宗教系メディアは「詐欺劇の疑い」 

これを韓国メディアがどう報じているかというと…大手メディアはやはり「ほぼスルー」。韓国内ではどうも統一教会の話題は「信者数が国民の29%に及ぶキリスト教内での宗派争い」という面が強いようだ。この「日韓トンネル」の話は宗教系メディア「現代宗教」が強く批判している。

以下、2022年3月21日の記事「統一教 韓日海底トンネル事業 どこまで来たのか? 経済性のない事業に執着する理由」からの抜粋。

「(構想発表から40年経つが)しかし統一教会側は2016年の韓鶴子訪問当時、工事現場600m付近で記念写真を撮った以外は何も見せていない。関連機関を動員して学術大会を開き、シンポジウムを開催しているが、机上の空論に終わっている。このような状況から見て、抽象的な目標を掲げる方法で信者をまとめ、献金を誘導する効果を狙っているのではないかという疑問が湧く。一角では投資誘致のための詐欺劇を繰り広げているのではないかという疑惑も提起されている」

「40年が過ぎた現在も韓日海底トンネル事業は支持されていない状況だ。『先が見えない』という表現がより正確。毎度のごとく『今回は可能ではないか』『今回こそは違う』という期待がかけられてきた。しかし40年という時間が過ぎてもまともな結論がない。韓日海底トンネルは誰のための事業なのか、平和のためのものなのか、教理の完成のためのものなのか、信者をまとめるためなのか、はたまた投資誘致のための詐欺劇なのかは全く知ることができない。いまやただの希望を与えるだけの拷問にしか見えない」

09年に「募金して平和王国トンネルを造る」 

韓国のキリスト教メディアは「疑惑」という言葉で伝えた。

しかし、こと「トンネル建設を通じてカネを集める」という点に関して言えば、教祖自らの発言が公式に残っている。

それもあっけらかんと。

韓国語版の「文鮮明先生みことば選集」第608巻(2009年2月の韓国信者に向けた発言を収録)には「宗教を動員して平和王国トンネルを造ろう」という項目がある。

まずは、なぜ自身がこれをやろうとしているのかについて。こんな内容が記されている。

「今日から韓日トンネルとベーリング海峡は、統一教会の教祖である文鮮明先生が宗教界の総帥としてまとめ、宗教を中心に据えて進めるということです。宗教は、平和な祖国を作るにあたり、責任を負えません。(常に)ケンカばかりして自分だけが上手くやろうとして滅びるからです」

自分が宗教界の中心となってまとめてやる、というスタンス。そして、ここからが核心部分だ。

「だから仕方なく(私が)宗教をまとめて動員し、募金して平和王国トンネルを造るんです。韓日トンネルを造るというのはなんのこともない話です。その基金をいまから準備させるようにし、先生(自分自身)が霊界に行く前までにやろうということです、私が10年生きるのなら、10年以内に。20年生きるのなら20年以内にしないといけないのです。私は仕上げられます。だからいったい、他に何が(何の難しい話が)あるというのですか?」

該当ページの該当部分のキャプチャ

日韓トンネル、そもそもが「教祖様を世界の中心に据え」るため、「教祖様の生きているうち(本人は2012年没)」に「カネを集めて」仕上げよう、とされていたプロジェクトだった。

日本側はそこを調べずに乗ってしまったか。はたまた知っていたのか。

近頃どうも、自民党の関係者方面では「知らなかった」という言葉が流行りのようで。こちらで調べておきました。

【参考記事/筆者による】

 

日々報じられる「自民党と統一教会」の話題。

ここ数日は「週刊文春」の報道による「岸田文雄首相と教団」のラインに及んでいる。支援者が教団と関係を持っていた、というものだ。

同誌によると、支援者とは2020年7月31日に発足した「熊本岸田会」会長の中山峰男氏(崇城大学/熊本市の学長)。氏が日韓トンネル建設を推進する関連団体の議長を務めていたという。

「日韓トンネル建設を推進」岸田文雄首相の後援会長は「統一教会」関連団体の議長

その日韓トンネル構想に、統一教会が絡んでいる。

岸田氏がこれまで「自らは教団と関係ない」としていた発言は虚偽ではないか。はたまた実現性に乏しく「単なる献金集め疑惑」がある事業との関わりが問題なのではないか。

そういった点が問われている。